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2023/01/31院長ブログ

歯を残すための特別な処置

こんにちは。院長の丸山です。

皆さまは今年の抱負は決まりましたか?
「一年の計は元旦にあり」という言葉があるように、何事もはじめが肝心。
まだゆっくりしていたい気持ちもあるかもしれませんが、しっかりと検診を受けて、むし歯や歯周病の早期発見・治療に努めましょう!

さて、今回は“歯を残すための特別な処置”について、以下の内容をまとめました。

・むし歯や歯周病で歯を残せない場合がある?
・歯を残すための特別な処置が必要な場合って?
・安定した差し歯を作るための条件とは?

今後、数回にわたり詳細を解説していきます。


むし歯や歯周病で歯を残せない場合がある?

「だいぶ前にかぶせた差し歯が取れてしまった。」
「差し歯がだいぶグラグラしてきた。」
「差し歯が何回も取れるので、そのまま放置してしまった。」

という主訴で来院される患者さまは多いです。

そしてほとんどの患者さまが、「なるべく歯を残したいです!」とおっしゃいます。

“ご自分の歯を少しでも残したい”という皆様のお気持ちはよくわかりますし、私も同じ価値観で診療をおこなっております。

残った歯根の方に問題がない場合は歯を残せることも多いのですが、詳細な診査診断を行なわせていただいた結果、“重度の歯周炎”や“重度のむし歯”、”歯根が割れている場合“については、残せない場合も多いです。





しかし、そういった歯についても、特別な処置を行うことで残せる場合があります。


歯を残すための特別な処置が必要な場合って?

歯を残すための特別な処置”が必要な状態…文字だけでは、想像がつきにくいのではないでしょうか。

画像で見るとわかりやすいかもしれません。


 

こちらは、差し歯が取れた口腔内の写真です。
差し歯が取れた歯根の表面は、むし歯が進んでしまっています。

むし歯菌(ミュータンス菌)の出す酸により、歯根の表面が硬さを失い、コンニャクのようにフニャフニャと柔らかくなっています(軟化象牙質)。 

この柔らかくなってしまった軟化象牙質を十分に取らないまま、無理に差し歯を付けても、またすぐに取れてしまいます。

したがって、十分な強度を期待できる健全な歯質の所まで、軟化象牙質を十分に削る必要があります。

かなりの量、歯根の表面を削る必要がありますので、歯根の頭は歯肉よりだいぶ深い位置に来てしまいます。

そのまま無理に土台を作ってしまうと、全周にわたり深い歯周ポケットとなり、歯肉の炎症が持続的に続いてしまいます。

この状態で、新たに差し歯を作っても長く持ちません。



安定した差し歯を作るための条件とは?

歯根破折のリスクを少なくして長期的に安定した差し歯を作るために、守らなくてはいけない条件があります。
その条件はフェルール効果と呼ばれています。


【フェルール効果の条件】
・健全な歯質の高さが、歯肉の位置から2mm(状況により1~1.5mm)
・健全な歯質の幅が1mm
→その範囲が歯の全周の75%以上必要 (Ferrule Efect)


歯を残すための特別な処置”は、言い換えればフェルールを獲得することによって差し歯の耐久性を向上させて、結果として歯周ポケットが浅くなり、歯周病菌による感染を起こしにくい状態にします。

具体的には、エクストリュージョン(矯正的挺出)クラウンレングスニング(歯冠長延長術)等があります。


【エクストリュージョン(矯正的挺出)とは】
残っている歯根に十分な長さがある場合に、ワイヤーとゴムの力で、歯肉に被っていた歯根の頭を引っ張り上げる部分矯正です。歯肉から歯根の頭が出てきたことにより、再び差し歯が可能になります。結果として歯周ポケットが浅くなり、歯周病菌による感染を起こしにくい状態にします。





【クラウンレングスニング(歯冠長延長術)とは】
歯肉や歯槽骨を削ることにより、相対的に歯根の頭を歯肉の上の位置にするための歯周外科治療です。結果として歯周ポケットが浅くなり、歯周病菌による感染を起こしにくい状態にします。





次回のブログでは、エクストリュージョン(矯正的挺出)について詳しく書きたいと思います。

これらの処置にご興味がございましたら、ジャスミン歯科クリニックまでお気軽にお問い合わせください。




ジャスミン歯科クリニック
〒261-0001 千葉県千葉市美浜区幸町2-17-1-101
TEL:043-204-5648