咬み合わせOcclusion
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咬み合わせが悪いとは?
一般的に皆様が“咬み合わせが悪い”という場合、あごの関節に何らかの症状があることを指している場合と、歯並びが悪い不正咬合の状態を指している場合、もしくはその両方が気になる場合があると思います。
患者さまのお口の中の状態によって、それに合わせた対応方法を取っていきます。
咬み合わせが悪いとは?
あごの関節に症状がある場合、“顎関節症”が疑われますが、3つの症状が広く知られています。
- あまり大きく口をあけることができない
- 口を無理にあけようとすると、あごが痛い
- あごを動かすときに音がする
“顎関節症”とは、これらの症状を起こす、さまざまな病気の群をまとめた言葉です。現在では“悪い咬み合わせ”、“歯ぎしり”、“ストレス”などのいくつかの要因が重なって、患者さまの顎関節やまわりの筋肉が耐久限界を超えてしまったときに発症すると考えられています。
この要因に対する耐久力には個人差があるので、同じ状況でも症状が出る人と出ない人がいます。
治療法としては、マウスピースのようなプラスチック製の“スプリント”と呼ばれるプロテクターで、上の歯か下の歯を覆うことで顎関節や筋肉に対する負担を減らす処置を行うことがほとんどです。
手術を伴う治療法を行わなければいけない患者さまは、“顎関節症”の患者さま全体の0.01%もいないと言われています。
“不正咬合”についての当院の考え方
“不正咬合”とは、歯並びや咬み合わせが悪い状態をいいます。その状態により様々な種類に分けることができます。
よく誤解が多いのは、上顎前突(出っ歯)と呼ばれる状態でも、本当に上あごが出ている場合もあれば、下あごが小さくて見た目が“出っ歯”に見えることもあります。
また、下顎前突(受け口)と呼ばれる状態でも、本当に下あごが出ている場合もあれば、上あごの成長が少ないために“受け口”に見えることもあります。
そのために、矯正を行う際には精密な分析を行って、患者さまの不正咬合の状態を正しく診断することが大切です。
当院では、頭部X線規格写真の分析は側方セファログラム(矯正用の頭部X線規格写真)に加えて正面セファログラム(矯正用の頭部X線規格写真)の分析も必ず行い、特に成長期の患者さまには成長予測を行って治療を行っております。
不正咬合・歯列の異常の種類
- 上顎前突 じょうがくぜんとつ(出っ歯)
- 上あごの歯、上あご全体が前に出ている状態。下あごが小さかったり、引っ込んでいたりする場合、上あごが出ているように見えることもある。
- 下顎前突 かがくぜんとつ(反対咬合、受け口)
- 下あごの歯、下あご全体が前に出ている状態。
上あごの成長が少ない場合、下あごが出ているように見えることもある。
- 上下顎前突 じょうげがくぜんとつ
- 頭蓋に対して、上あごも下あごも前に出ている状態。
口もと全体が前に出ていて、横顔(プロファイル)の見た目に影響を与える。
- 過蓋咬合 かがいこうごう(ディープバイト)
- 上の前歯が下の前歯を、過度に覆っている状態。
- 開咬 かいこう(オープンバイト)
- 上の前歯と下の前歯が咬み合わず、すきまがある状態。
- 交叉咬合 こうさこうごう(クロスバイト)
- 通常の咬み合わせは下の歯に上の歯がかぶさるように咬み合うが、反対に咬み合っている状態。
- 叢生 そうせい
- 歯と歯が重なっている状態。
歯がきれいに並ぶ十分なスペースが、あごの骨に無い場合に起こりやすい。
- 空隙歯列 くうげつしれつ(すきっ歯)
- 歯と歯の間にすきまがある歯並び。
舌で歯を前に押すくせや、大きな舌と関連することが多い。
- 歯の位置異常
- 本来の歯の並ぶ位置に比べて、前や後ろにずれていたり、倒れていたり、ねじれていたりする状態。
“不正咬合”はなぜ起こる?
先天的要因(遺伝)と後天的要因(環境)によって起こるといわれています。
先天的要因(遺伝)とは、例えば背が高いお父さんとお母さんから生まれたお子様は背が高い場合が多いというように、骨の大きさや歯の大きさは遺伝しやすいものです。
上顎前突や下顎前突といった、不正咬合自体は遺伝しません。しかし、骨の大きさや歯の大きさといった、咬合を決める要素は遺伝します。そのため結果的に、親子や兄弟が同じ“不正咬合”になるということが良く起こります。
後天的要因(環境)とは、口のまわりの筋肉の機能不全や“口腔習癖”などにより、不正咬合が起こったり増悪したりします。
“口腔習癖”とは?
日常の生活の中で無意識に行っている、口の中に関連した習慣的な行動のことです。
特に成長期のお子さまにおいては、歯並びや咬み合わせに影響を与えやすいと考えられています。
- 指しゃぶり(吸指癖・拇指吸引癖 きゅうしへき・ぼしきゅういんへき)
- 胎生期から始まり、生まれてから1~2、3才までは“吸う”という本能が残っているので普通にみられる行動です。
3~5才頃では“指しゃぶり”をしないように言葉で気づかせて意識付けすることも大切になってきます。
5才を過ぎても“指しゃぶり”がやめられなければ、開咬や上顎前突や交叉咬合などの不正咬合の原因になりやすくなります。装置を入れて“指しゃぶり”をやめさせることも考えなければなりません。
爪や鉛筆、毛布等を咬むくせがある場合も、“指しゃぶり”と類似した影響があります。
- 弄舌癖・舌突出癖 ろうぜきへき・ぜつとっしゅつへき
- 無意識に上下の前歯で舌をはさむくせ(弄舌癖)や、舌で歯を前に押すくせ(舌突出癖)があると、開咬や前突などの原因になることがあります。
“指しゃぶり”から継続して二次的に移行する場合と、鼻閉による口呼吸による場合があります。
- 吸唇癖・咬唇癖 きゅうしんへき・こうしんへき
- 唇を吸うくせ(吸唇癖)は、“指しゃぶり”の代償的行動と考えられています。
唇を咬むくせ(咬唇癖)は、ストレスがあるときに行うと考えられています。
いずれも、開咬や前突などの原因となることがあります。
- 口呼吸
- 鼻閉のため鼻からの呼吸が行えないので、口を開いた状態で呼吸をします。
開咬、前突の他、歯列狭窄、交叉咬合等の不正咬合の原因になることがあります。